コウモリ男の秘密(1)新都市伝説

 

 

 都市伝説というものには、いろいろあると思います。

 

 ワタシが少年時代には例の口裂け女、ホントに怖ろしかったですね・・・・。

 

 ワタシの幼なじみは恐怖のあまり半ノイローゼ状態になり、夜外出できなくなったほどです。

 

 大学時代には「ドラえもん」の最終回、あれも非常に不気味で夢に出てきたくらいです。

 

 ワタシが「コウモリ男」の伝説を聞いたのは、今から10年位前のことでして、これはコウモリの格好をした男が深夜出現しては、通行人の前で踊り狂い驚愕の坩堝に陥れたうえ、そのまま本当に天に飛ぶが如く疾走しては消えゆくという話です。

 

 しかし、これはどうにも都市伝説なんかじゃなかったわけです。

 

 つまり、地方都市の或る一帯にのみ出現したコウモリ男でして、全国紙ではなく、その一帯の地方紙に掲載された程度の、いわゆるローカルな話題だったことにもよります。

 

 それに、コウモリ男は、3度目に出現したとき、本当のコウモリよろしくあまりにも異形な風体のまま逮捕されたわけでして、最終的に、謎の神秘性はメディアによって公にされてしまうからです。

 

 コウモリ男の正体は、当時、27歳の会社員男性、地元に両親と居住する者であることが判明するわけですが、ワタシがその話を聞いたのは事件後数年してからのことです。

 

 当時のワタシは(今もそうですが)、いろいろな怪事件を収集する癖がありまして、とりわけ、このコウモリ男事件についてはひどく印象に残っているものです。

 

 以前やっていたブログで「ピエロになった男」の世にも希なる事件を話したことがありますが、このコウモリ男事件はそれに勝るとも劣らぬ幻想的不気味さの爪跡をワタシの胸中に残しきったものです。

 

 今後、ワタシが敬愛する江戸川乱歩師に捧げる「奇妙な交通事故」の話もしますが、その序奏曲のような感じで聞いていただければ幸いです。

 

 前置きが長くなりましたが、結論までにはそんな時間はかかりません。まずは、なぜコウモリ男がこの世に出現したのか、これは犯人の生い立ちから話す必要があるかと思います。

 

 コウモリ男こと佐藤H雄は、関東近県の某市で出生し、少年時代から何の問題もなく東京の大学を卒業し、やがて地元の会社に就職します。

 

 卒業後は地元に舞い戻り、一人息子の彼は両親とともに仲良く生活しており、友人も多く職場内での人望も厚かったそうです。

 

 問題といえば、いまだ彼女ができないことくらいで、一体全体なぜに・・・。

 

 ひとつだけ彼には奇妙な性癖というか、そういうものがあったそうですが、それは友人知人誰も知悉していなかったことが後にわかったそうです。

 

 大学を卒業し自宅に帰って来た頃からでしょうか、彼は非常に奇妙な事に熱中することになるのです。

 

 サウナ・・・・。

 

 その頃、週末には、なぜかサウナを愛し、市内から電車で二時間もかけ、新宿のサウナに頻繁に通うようになっては、母親に不審がられるようになったとのことです。

 

 このサウナ通いはすぐに断絶することになり、その後サウナ通いついては聞かなくなったとのことですが、その頃からですね、彼の週末の行動には非常に秘密めいたものが生じてきたということが、後の母親の証言からもわかります。

 

 毎週末になるや、朝からひとり車でどこかに出かけては、夜帰ってくる。メーターをみると相当な遠距離であることがわかる。

 

 そろそろ結婚相手を見つけなければならない年齢だというのに、毎週末になるや、彼は何をしているのだろうか。

 

 絶対に行き先を告げない・・・・・。

 

 あの頃から、もっと監視すべきだったとは、その後の彼の両親の言です。